13章 フレーズの和声構造
統一性と多様性
フレーズ内に於ける和音の選択と分布を支配するのは、統一性と多様性である。
これらのどちらを優先するべきかは、そのフレーズが書かれた特定の目的によって決まる。
フレーズの小節数
フレーズは基本的に4小節か8小節でできている。
この基準に合わないものの多くは、もともと4小節か8小節でつくられた物を何らかの手段で引き延ばしたものである。
フレーズの始まり
フレーズは必ずしも主和音で始まるとは限らないし、小節の第1拍から始まるとも限らない。
和声的には、最初の2~3の和音で調性を確立するのが普通である。
フレーズの連結
カデンツはリズムと和声の両方の機能を併せ持つ。
カデンツがフレーズの終了を決定的なものにするかどうかは、必要に応じて変えられる。
和声的かつリズム的に完全な終止をもつフレーズが、旋律的には次のフレーズに繋がっていることがある。
第2フレーズが第1フレーズの最後の和音で始まると、フレーズの重なりが起こる。
ゼクエンツ
和声のゼクエンツ......同じ音程の根音進行が移高されて繰り返されること。
半ゼクエンツ......反復パターンの提示とそのゼクエンツがフレーズの一部を成し、以降はゼクエンツを続けない形。
正規ゼクエンツ......半ゼクエンツでないゼクエンツ。
フレーズと楽節:前楽節と後楽節
前楽節と後楽節......釣り合いのとれた、フレーズ中で対を成す構成要素
全てのフレーズが前楽節-後楽節の構成を持っているわけではない。
楽節......バランスのとれた一対のフレーズ
複楽節......バランスのとれた一対の楽節
小曲の形式
閉じた形式......規則的なリズムパターンとフレーズの長さ、バランスのとれた旋律の構成、強いカデンツを持つ。
2部形式......バランスのとれた2つの部分からなる。
3部形式......3つの部分からなる。3つ全てが大幅に違うことも、第3部分が第1部分の反復となることもある。
開いた形式......主題の展開が主軸となり、長い時間に渡って形式が自由に拡大・拡張する。
小曲の分析
大切なのは、まずその曲のどの要素に焦点をあてるかを決定すること。基本的な要素のほかに、興味のある個別的な細部にも注目してみるといいだろう。
実際に曲を書くときは、分析で分かった作曲家の思考過程を、単純なレベルでもいいので体験するよう努めると良い。
応用
旋律とテクスチャーの変化によって得られる音楽的多様性の分析手順
与えられた旋律から根音進行のリズムを引き出す。
元のテクスチャーを4声体で表す。
第1段階で得た根音進行とリズムパターンを土台とし、元のフレーズと似ない新しいフレーズを作る。